

| こんな夢を見た。 チャカポコチャカポコと軽やかな祭囃子にのせて、遠くから色鮮やかなものが近づいてくる。 最初は豆粒のような大きさであった色の塊は近づくにつれてだんだんとくっきりとした輪郭を帯び、人の形になった。目を凝らせばそれは、三人の男の姿であった。 全員が色違いの祭り装束を身に纏っているようである。中央の小男は赤、向かって右の派手な色合いの髪をした男は青、そして左の背の高い男は黄を。鮮やかな色彩を身に纏った彼らはヒョコヒョコと、陽気な祭囃子にあわせては腕をあげ足をあげ、ゆっくりと、だが着々と私に近づいてくる。 チャカポコチャカポコ、耳を劈けとばかりの祭囃子は彼らが近づくごとに激しさを増し、甲高い笛の音色が私の脳髄をキリキリとえぐる。あまりの音量に耐え切れなくなった私が両手で耳を塞ぐ頃には、お囃子に合わせて踊り狂う男たち一人一人の顔立ちが鮮明に見えるほどに、彼らと私は近づいていた。 赤と青の装束姿の二人の男たちは眼鏡をかけていた。顔立ちに於いては、よくもまあ同じ装飾具を身に着けていながらこれほどまでに差が出るものだ、と若干赤い装束の小男が不憫になる程度である。黄の装束を纏った男の顔立ちはといえば、整っていたのであろう印象はあれど、色鮮やかば背景の五月蝿さに負けてしまっていたのだろうか、とりたてて印象に残ってはいない。 しかしながら額に汗を流し、今にも歌いだす寸前とも言う風な微笑を唇に含んだ男たちは遠目にも非常に愉快そうであった。気がつけば黄装束は男の手には黒い輪が握られている。もぎ取った車のハンドルだろうか、一体何故そのようなものを男が手にしていたのか定かではない。いつのまにかそのうすぼんやりとした顔には眼鏡すら乗せられている。 チャカポコチャカポコ 音に合わせて男達は笑い、くねくねと手足を蠢かせて踊る。 なんとも奇妙な、むしろ不気味とさえ思える私の夢。けたたましく頭蓋の内側で反響する騒音の中、踊る男達をみつめる私は、たった一つ思った―「殴りてえ」 無論、目覚めは未だかつてないほどに不愉快であった。 |