サービスのウィスキーと一緒に出した提案に、十年来の友人が返したのは何時も通りの仏頂面に少しの呆れを含ませたなんとも微妙な表情だった。 「今年いくつになるんだよ、俺らは。」 「いくつになったって嬉しいものだよ。それに俺達、相応しい年の頃はしょっちゅう問題起こしてそんな悠長な時間は取れてなかっただろ。」 喉を鳴らして酒を流す姿は、粋がって手を付け出した頃よりもずっと様になってきた。 「いいじゃないか、たまには。俺達も学生終わってからそんなにゆっくり話す機会無かったし。」 「手伝うのは構わねぇけど、あの女がそんなもん喜ぶタマか?」 カラン、と丸く加工した氷が空のグラスの中で跳ねる。呑むスピードが速いのは相変わらずだ。 「まぁ、物は試しということで。明日の朝何時に駅前来れる?」 「早くても十時だな、俺昨日寝てねぇんだよ。」 「いい加減不摂生な生活続けて持つ体でもないだろ、もうそんなに若くないよ俺ら。」 「お前は中学からオッサン臭かったけどな。」 ごちそうさん。カウンターの上に置かれた代金は注文外の一杯もきっちり含まれておりそういえばどんな条件でも要が大人しく奢られることなど数える程も無い。いくら言っても聞くことはまずないだろう、とレジに収納した。 |