「マナ。」 2人揃って遺伝した癖毛が揺れ、振り返るその瞳に映っているのは本当に俺なのだろうか。 「なぁに、レン。」 「城崎さん。」 澄んだ瞳は誰を想って泣くのか。あきちゃんならいいんだけどなぁ、なんて責任転嫁も甚だしい思想は煙と一緒に宙に吐き出す。 「ふふ、その呼び方だとレンも一緒でしょ。」 「・・・マナちゃん。」 愛おしむように慈しむように、触れただけで崩れそうな脆さを儚んで。 「レン、どうしたの?」 隅々まで完全に女に育ててやったのに、そのあどけない表情は何処からくるのか。 「なんでもなーい。なぁ、なんでさっきから時計気にしてんの?」 「ん、もうちょっと・・・」 ベッドの中で焦らしを要求するような口調に、血の繋がった人間ながら欲情とよく似た感覚が芽生える。別嬪には勃たない筈なんだけどな、俺。 カチ、と時計の二つの針が12の上で重なる。マナがぱぁ、と顔を明るくして俺の方を振り向いた。 「お誕生日おめでとう、レン。一番に言いたかったの。」 「・・・さんきゅー。」 この年で欲しくなるプレゼントも無い。ただ、この不意打ちの笑顔を来年も見ることができたら。 それを願えるほどの資格を持ち合わせていないことを自覚しながら、柔らかな髪をそっと撫でた。 |