伊熾さんより、雨宮と瞳子の小説戴きました。


彼女の髪の一線、爪先の細胞ひとつまで、同じモノであればとどれだけ思ったのだろう。いくら願おうとそれは類似しか見せず、僕等は同じにはなれない。


携帯の着信音に、珍しく瞳子は休日の朝に目を覚ます。けだるげな態度で画面を見て、思い出すように「ああ」と呟いた。

「誰?」
「うん」

尋ねても、答える気などない返事だけ。その儘起き上がり、ゆっくりと服を脱ぎはじめた。僕がいくら起こそうと、いくら誘おうと乗り気にはならない癖に。出掛けると云う事は一目瞭然である。

「どこ行くの」
「外」
「…今日、バイト早く終わるんだけど」
「へえ」

おざなりな返事。

(例えば、例えば今、彼女が僕と同じ存在ならば。彼女は出掛けやしないだろう。)

僕が彼女であったなら、差し詰め気にもかけないのだろう。

ふらりひらり揺れる、彼女は蝶。なのに良く似た筈の僕は、蝶にはなれない。
同じそれならどんなに良いか。
せめて、せめて蜘蛛になって捕らえ喰らい尽くしてしまえれば。
ゆらり揺れる彼女の髪を只立ち見つめるだけ、それだけ。動くことも知らぬ出来ぬ花のように。

ならば僕はどこまでもただ花となるから。花であるから。

(枯れて萎れるまで、吸い取り搾取して、)

君に成れぬ僕を、僕と同じにはならぬ君の一部にしてはくれないか。