昔々の事でした。 王妃の玲二は今日も怪我人の治療をしていました。 たとえ何処かの世界で童貞と言われようと、古の物語の世界では美貌か家柄か手に職があれば結婚できます。 幸い玲二は性格に若干の棘があっても、腕のいい医者としての評判があったので、大国の王妃として迎えられました。 今日の患者は国の重役の子ども真梨香でしたが、治療というのに消毒しても、何しても痛いと言って暴れます。 玲二は白衣に飛び散った血を見て冷ややかに呟きます。 「この白衣のように白く、この血のように赤く、お前の性格みたいに黒い子どもが欲しい」 患者は一瞬で大人しくなりました。 王妃はそれからすぐに子どもを授かり、あの日呟いたように、白い肌に赤い頬に黒い髪のとても麗しい赤ん坊を産み落とします。 王に白衣の白さとは言えない玲二が言い訳に使った雪のような白さから、子どもは白雪姫と名付けられました。 しかしその後間もなく玲二王妃は亡くなってしまいました。 王は白雪姫が一歳になる前に新しい王妃を娶りました。 今度はすぐ亡くならないように玲二より線の太く野性味あふれるレンという王妃です。 またレン王妃は王妃になる前には舞台に出るなど、大変な美貌を誇っていました。 王妃は王宮にくる時に、鏡を持ってきていました。 そして、側に誰もいない時に鏡に向かって尋ねるのです。 「鏡よ、鏡。一番美しいのは誰だ?」 すると鏡にはぼんやりとした影があらわれ「この国で一番美しいのは、レン王妃、あなたです」と答えるのです。 王妃はこの影が嘘を言えない魔法の影だと知っていたので、この答えを聞くと安心しました。 こうして時は過ぎ、白雪姫が年頃になったある年の誕生日の日です。 王宮で誕生日の祝いの宴が行われ、白雪姫もレン王妃も新しい衣装をこしらえて楽しく過ごしました。 王妃はその美しく着飾った姿で、鏡に問いかけます。 「鏡よ、鏡。一番美しいのは誰だ?」 |