「神様って信じる?」 彼女の質問はいつも突然だ。その虚ろな目に僕を映さないまま。 「神様?」 「そう、神様。」 「瞳子はどう思う?」 彼女の心理を探る。質問の意図を見ようとする。 「わかんない。」 「居ないと思う?」 「居てもおかしくなし、居なくてもおかしくない。わからない。」 いつも無表情な彼女は何を考えているのかわからない。 「優希はどう思う?」 「そうだな・・・。」 神様が居るとしても、僕はそいつに何をする。信仰心なんて持っていない。生まれた時から裏切られて来たのだ。 「・・・。」 「優希。」 名前を呼ばれ振り返る。かけっぱなしだった眼鏡を取られる。 「眼鏡とっても似てないね、私たち。」 「そりゃ二卵性双生児だもん。兄弟ぐらいの違うは出るよ。」 「優希。」 僕の体にすり寄る彼女は、力を入れると折れてしまいそうだ。その枯れ木のような体を包む。 「雨、止まないね。」 「うん。」 「洗濯物、黴びちゃうかな。」 「うん。」 古いアパートの壁に天粒が当たる。 僕は、瞳子が居れば、神様なんていらない。 そう言ったら君はどんな顔をするんだろう。 夏に近づいているはずなのに、部屋の中はひんやりとしている。 「瞳子。」 僕の体に埋めていた顔をあげる。 「雨上がったら、散歩でもしようよ。」 「・・・うん。」 無症状な彼女の顔が一瞬笑ったように見えた。 息をひそめ、生存を消しながら生きる僕らに、神様なんていらない。 |