眩しく光る人工灯に、灯蛾がちらちらと揺れて影を落とす。 夜闇は街の光で白く霞んでいる。 肌寒くなってきた季節に、玲二は申し訳程度の上着でなく、厚手の上着をもう一枚着てくるべきであったかと肩を震わせた。夜が明けようとしていた。 仕事の帰り、裏路地を歩いていると、微かにツンとアルコールが香った。 決して酒に強くはない玲二は小さく眉を寄せて、しかし進路を変えることはなく真っすぐに歩を進めた。 そして直ぐに、その匂いの元を知る。 (男、か) ぐたりと路道に横たわる、赤ら顔の長身。色素の薄いその髪に玲二は少しだけ親近感を覚えた。 とはいえそれ以外に共感を覚えることなどは無く、関わる気も起きない。 それなりに若そうだし、頑丈そうな身体をしている。例えば玲二が路上で寝ていれば間違いなく風邪をひくが、この男ならわからない。 (放っておくか) そのまま通り過ぎようとして、 …玲二は脚を止めた。 はあ、溜息を吐く。 (これじゃ、お節介と言われても仕方がないな。) ひゅう、 夜明け前の一際寒い風が吹いた。 路上に眠る男はやはり寒そうであったが、その身体には申し訳程度の薄い上着がかけられていた。 |